滋賀ペット治療院の山路です。
主に往診でペットの鍼灸治療をしています。
「ユマニチュード」という言葉をご存じですか?
フランスで生まれた、認知症ケアの新しい手法です。
これは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つのコミュニケーションの柱を主体に、150以上の技術から成る認知症の方への接し方で、日本でも2011年から導入され、医療機関や福祉施設等で注目を集めているとのことです。
この4つの柱とは、
1.「見る」
相手に見えるように同じ目線で視線を合わす。相手に自分が味方であることを伝える。
2.「話しかける」
たとえ反応が返ってこなくても積極的に話しかける。ポジティブなことをゆっくりと話すことで、心のこもったケアを行う。
3.「触れる」
相手の手や背中を優しく包み込むように触れることで、安心感を与える。
4.「立つ」
自分の足で立つことで、身体機能を維持すると共に、精神的にも自立を促す。
これらのケアは、ペットにも応用が可能です。
普段から声をかけながら犬猫の体に触れることにより、年を取ってからも飼い主さんがそばにいるという安心感を与えることができます。
特に犬の場合は視力より嗅覚から多くの情報を得ますので、飼い主さんの臭いをかがすのはとても大切です。触れる前に鼻の前に手をかざして飼い主さんの臭いをかがせてから触れることで、目が不自由になっても飼い主さんの存在をわからせることができます。
食べ物を与えるときも同じように、臭いで誘導することで食べやすくなります。
それから、身体機能の維持と脳の活性化のために、年を取っても散歩や遊びは大切です。愛犬の足が悪くなってもできる限り外へ連れ出す機会を作ってあげましょう。歩くこと、外の臭いを嗅ぐことは、ワンちゃんの生活に刺激と張りを与えます。
室内にいる猫の場合は、外が見えるところ、外の空気が吸える場所にひなたぼっこの寝床を置いてあげてもいいでしょう。また、高いところに上りづらくなってきたら間に段を入れてあげるなど、猫のお気に入りだった場所に行きやすくする工夫も必要です。
家族の一員であるペットたちが、大好きな飼い主さんのそばで最後まで安心して暮らせるようにケアをしてあげたいですね。