滋賀ペット治療院の山路です。
主に、往診で犬猫の鍼灸治療をしています。
今回の記事は、書こうかどうか迷っていたのですが・・・
自分の覚え書きのためにも書いておこうと思います。
今年の5月・6月は、例年にもまして不順な天候が続きました。
そのせいか、体調を崩すペットも多かったようで、往診先のワンちゃんや友人の猫さんなど、5月から6月にかけて亡くなったという話をたくさん聞きました。
ペットが亡くなるとき、飼い主には多かれ少なかれ悔いが残ります。
「もっとこれをしてあげればよかったのでは・・・」
「これをしなければよかったのかも・・・」
ある方は、リンパ性白血病で治療中の愛犬が、抗ガン剤の反応もよく前日まで友達と遊んでとても元気だったのに、翌日突然体調が悪くなって亡くなったそうです。
「もっと先まで闘病計画を考えていたので、こんなに急に逝ってしまったことが受け入れられないんです。まだたくさんしてあげられることがあったのでは、と・・・」
と、言っておられました。
また、ある方は同じく闘病中のワンちゃんでしたが、食べなくなってから水だけで10日あまり生きながらえて亡くなったそうです。
「もしかしたら、無理して引っ張りすぎたのではなかったかと悩みました。もっと早く楽にしてあげることもできたのでは、と・・・」
私は、いずれの場合も飼い主さんとペットとの関係として決して間違いではなかったと思います。
なぜなら、ペットは自分が旅立つ時期を自分で決めているのではないかと思うからです。
前者のワンちゃんは、飼い主さんの手をあまり煩わせたくなくて、自分の元気な姿を最後の記憶にして欲しかったのではないでしょうか。
そして、後者のワンちゃんは少しでも長く飼い主さんのそばにいたくて頑張っていたのではないでしょうか。
どちらにしても、ペットには自分の死を自覚して、自分にも家族にもいい状態で旅立つ不思議な力があるような気がします。
その思いを強くしたのは、骨肉腫の再発で末期の状態のピレネーさんの鍼治療を依頼されたときです。
骨肉腫で後ろ脚を片方断脚し、ずっと三本足で元気にしていたそうですが、どうも再発したらしく、前脚もガチガチに固まってしまいました。
飼い主さんから依頼をいただいたとき、
「少しでも体を楽にしてあげられたらと思って鍼治療を選択しました。」
とのことでした。
私は、これをお聞きして、直感的に
「もしかしたらこのワンちゃんは自分が旅立つ準備のために私を呼んでくれたのではないだろうか。」
と、思いました。
シニア犬や、慢性の疾患を持っている子の場合、気を動かしすぎると余計に具合が悪くなることがありますので、こういうケースでは刺激を入れすぎないよう、慎重に施術をするのですが、飼い主さんにはあらかじめ
「もしかしたら、鍼治療の結果で具合が悪くなることもあります。」とお伝えしました。
ところが、実際に鍼治療を始めると、とても手応えがよかったのです。
マッサージをしていても、すごく強い「気」を感じて、帰り道には私の方が元気を分けてもらったように感じていました。
また、治療後は呼吸もとても楽そうになり、ゆっくりと寝られたようです。
飼い主さんにも「治療のあと、元気で水も飲みました。もう少し生きられそうです。」
と、おっしゃっていただいたのですが、その翌日から具合が悪くなり、亡くなったそうです。
以下は、飼い主さんからの言葉をそのまま掲載させていただきます。
「昨夜他の写真も添付しようとコメントも書いていたのですが、ものすごく疲れていて返信しないまま寝入ってしまいました。そして未明に逝きました。
先生としては複雑かも知れないけれど、来ていただいて本当に良かったです💕
やっと楽になって4本脚に戻れました。
もしこの子が先生にエネルギーを与えたのなら、他のわんちゃん猫ちゃん達を元気にしてあげてね🎵と託したんだと思います。
何の悔いもありません。
本当にありがとうございました。」
動物の死ぬさまというのは、とても気高く立派で、人が無理にそこに介入するものではないのかもしれません。
人間にできるのは、最期のときを少しでも楽に、笑顔で迎えられるような関係作りとケアなのだと改めて思いました。
そして、私にできることは、そんな飼い主さんとペットが少しでも悔いなく最期を迎えられるようサポートすることなのだと思います。
【追記】
飼い主さんの「悔いはない」は、決して本心ではないですよね。どうすればよかったのか、正解はないです。
楽しいことを思い出しては、やっぱり悲しくなってしまいます。
安楽死という選択も含めて、飼い主は最後まで「これがいいのかな、いや、やっぱりこっちの方が…」とあがきます。
それが家族であるペットの死を迎えるということなんですよね。
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