滋賀ペット治療院の山路です。
主に往診でペットの鍼灸治療をしています。
昨日往診にうかがったコーギーさん。
写真で見ていただいているとおり、とても素敵な尻尾があります。
前のコーギーを椎間板ヘルニアから脊髄軟化症を発症して亡くしたという飼い主さん。
「コーギーの足腰の問題は断尾が原因かも知れない」という記事を見つけたことから、ブリーダーさんに「尻尾を切らないでください」とお願いしてこの子をお迎えされたそうです。
コーギーの断尾をする理由はいくつかありますが、
「昔イギリスで牛追いの仕事をさせていたときに、牛に尻尾を踏まれないために断尾した。」
「コーギーが仕事中にハンターにキツネと間違われないために尻尾を短くした」
など、いずれも犬が仕事をする上で必要だから短くしていたようです。
ところが、現代ではコーギーは家庭犬となり、もう牛を追って野原を駆け回る必要はありません。
つまり、牛に尻尾を踏まれる心配もハンターに撃たれる心配もないわけです。
現代のコーギーの尻尾は、「尻尾がない方がかわいい」という理由だけで切られているのですね。
確かに、コーギーのプリプリしたお尻はかわいいですし、あれをコーギーの魅力と考える方も多いのですが・・・
でも、犬にとって尻尾を切られるとことには様々なリスクを伴います。
まず、体を動かすときの舵取りになっている尻尾がなくなることで、動きが鈍くなります。
次に、感情表現を表す尻尾がないことで、犬同士のコミュニケーションにも支障を来します。
さらに、以前にご紹介した事例のように、断尾の不手際による後遺症等の心配もあります。
今回、「コーギーの断尾が椎間板ヘルニアの発症に関連している」という文献を探すことはできませんでしたが、実際に尻尾を切っていないコーギーを飼ってみて、「動きが全然違う。お尻の筋肉の付き方も尻尾がある方が断然いい。」と飼い主さんはおっしゃっています。
獣医師の立場からすると、私は見た目がかわいいからという理由だけで犬の断尾を行うことには反対です。
尻尾は犬にとってとても重要な体の一部です。
今は尻尾のあるコーギーを見慣れてないから違和感があるかも知れませんが、いつかコーギーの尻尾が当たり前になることを、そして他の犬種についても見栄えのためだけの断尾や断耳が行われなくなることを願います。